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珪藻?分裂?

河川水には大小様々な珪藻がいるが、これは非常に大きく長さ0.3ミリもある。二つの細胞が寄り添い分裂中なのだろうか?表面は堅い構造に覆われるが、内部細胞質は柔らかく動きが見える。中の黄褐色構造は何か?やがて二つに分かれていくのか謎に包まれている。


月井雄二先生(法政大)のコメント
私は珪藻の分裂は観察したことがないのでコメントしずらいのですが・・・。

内部にある黄褐色のものは,葉緑体が崩れたもののように見えます。

分裂中であれば,2つの細胞の間で同じ構造が対称的に並んで観察されるはずですが, 黄褐色のものは,2つの細胞の間で形がふぞろいというか,上の細胞には ほとんどないのも分裂中とは異なる状態(=すでに死んでいる?)である ように見えます。

珪藻はスリレラの仲間のように見えますが,断定はできません。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2009/07/03

採取場所:広瀬川B  Google Map

いくつかの珪藻

さまざまな形の珪藻が泳ぎ回る中で, 互いにくっついて動かない2種の珪藻。


月井雄二先生(法政大)のコメント
珪藻は,大型の種類は外形だけでおおよそ種が判別できますが,中型〜小型種については似たものがたくさんいますので,外形だけでは種どころか属の判定もできません。この動画に写っているサイズだと類似の種がたくさんいますので,種を同定するには,細胞を酸で処理し,細胞壁の模様を高倍率で観察する必要があります。

採取日:2009/05/28

採取場所:広瀬川B  Google Map

トラケロモナスと珪藻たち

画面中央で、細長い紐状生物と珪藻がからみあい動けないようだ。まわりには大小の珪藻やトラケロモナスが元気よく泳ぎ回る


月井雄二先生(法政大)のコメント
この動画の前半で動いているのはすべて珪藻です。中心部に紐状のものがあり,わずかに動いているように見えますが,これは繊維状のバクテリアだと思います。緑色をしていないので藍藻(シアノバクテリア)ではないかも知れませんが,断定するにはより高倍率で観察する必要があります。

また,スタートから26秒から28秒の部分に,画面の左下から右上へすばやく移動する生物が写っています。一見するとトラケロモナスのように見えますが,殻の外形はトラケロモナスのものとはかなり異なります。

殻は細胞の先端部に接する部分が窪んでいますが,このようなタイプの殻はトラケロモナスでは見当たりません。これに似たものは緑藻類の仲間にいます。ディスモルフォコッカスやコッコモナスなどです。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

一番近いのはコッコモナスかも知れません。以下のURLをご覧ください。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

ピントが合っていないのと,この倍率では殻の内部にいる細胞の様子,鞭毛(2本)の有無などが確認できないので,コッコモナスだと断定はできませんが,トラケロモナスよりはコッコモナスに近いことは確かです。

採取日:2009/05/28

採取場所:広瀬川B  Google Map

粒子のまわりの珪藻たち

大きな粒子の周りを泳ぐさまざまな珪藻たち。粒子が時々動くのは珪藻につき動かされているからだ。


月井雄二先生(法政大)のコメント
小型珪藻については,似た種類がたくさんいますので,動画だけでは種を同定するのは無理です。種を同定するには,細胞を酸で処理し,細胞壁の模様を高倍率で観察する必要があります。

左上にジッとしている細胞がいますが,内部で収縮胞が動いています。その外形と葉緑体の色から,クリプトモナスか,近い仲間だと思います。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2009/05/28

採取場所:広瀬川B  Google Map

水田の珪藻とその内部

大き目の珪藻を観察。珪藻の背後にも微生物が動くが、細胞内部でも小さい粒子が動いているのがわかる。


月井雄二先生(法政大)のコメント
これは珪藻の一種、Surirella(コバンケイソウ科)です。種名については、おそらく Surirella robusta だろうと思います。河川でよくみかける種だそうです。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2006/09/22

採取場所:鹿島台水田  Google Map

水田:珪藻

水田から採取後、湛水2日後撮影。

長方形の形をした珪藻。珪藻の仲間の移動する動きは優雅にステップを踏むようだ。


月井雄二先生(法政大)のコメント
これは珪藻ですが、その帯面(girdle face)しか写っていませんので属の判定はできません。

先にコメントしたアドレス:

https://youtu.be/lmNmEwg2tIE

の動画についてはイタケイソウ(Diatoma、ディアトマ科)であろうとしましたが、この動画では帯面が連なった状態にないのでイタケイソウであると断定することができません。

帯面がこのように見えるのはイタケイソウだけではないからです。

Pinnulariaもその一つで、野外にはたくさんいます。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

珪藻を同定するには、やはり殻面(valve face)を見る必要があります。

採取日:2006/11/17

採取場所:鹿島台水田  Google Map

水田:連なった珪藻

水田から採取後、湛水2日後撮影。

2つの長細い珪藻が連なっている。分裂直後なのだろうか?


月井雄二先生(法政大)のコメント
これはアドレス:

https://youtu.be/lmNmEwg2tIE

 で紹介したイタケイソウのようにも見えますが、違う可能性が高いです。横並びの2つの細胞のうち、左側は帯面(girdle face)が見えていますが、右側はやや傾いた状態で帯面だけでなく殻面(valve face)も見えています。その殻面を見ると、イタケイソウというよりはハネケイソウ(Pinnuralia)のように見えます。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

これは、分裂後の2つのハネケイソウがなんらかの理由で接着したまま滑走運動をしているのだろうと推察します。

採取日:2006/11/17

採取場所:鹿島台水田  Google Map

水田の茶色い珪藻

水田の泥をかき分けるように進む茶色い珪藻。一見、可動部分がないように思えるが、どのようなメカニズムで進んでいるのだろうか?


月井雄二先生(法政大)のコメント
これはハネケイソウ(Pinnularia)の一種です。珪藻は,通常,複雑な模様がある面(殻面,valve face)を上下にして滑走運動をしますが,この細胞は模様のない横の面(帯面,girdle face)を見せながら移動しているようです。回りに顆粒状の物質が多くあり,それらの上を滑っているので横に倒れながら移動ができていると思われます。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2006/07/18

採取場所:鹿島台水田  Google Map

水田の珪藻と、その内部

水田から採取した珪藻。外側の模様と内部の粒子の動く様子が印象的。


月井雄二先生(法政大)のコメント
これは珪藻の仲間,Surirellaです。珪藻は,通常,複雑な模様がある面(殻面,valve face)を見せながら移動しています。Surirella robustaか,それに近い種だと思います。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2006/07/18

採取場所:鹿島台水田  Google Map

水田の珪藻

水田から採取した珪藻。ゆっくりと障害物を押し分け進む。その動きは周りに不思議な力で水流でも起こしているかのようだ。どのようなメカニズムなのだろう?


月井雄二先生(法政大)のコメント
これも他の動画(

https://youtu.be/ZG6ZFRjduKY

)と同じハネケイソウです。模様のない横の面(帯面,girdle face)を見せながら滑走運動をしています。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2006/07/18

採取場所:鹿島台水田  Google Map

水田の珪藻と周りのバクテリア

水田から採取後、DNB寒天(薄めた肉汁を寒天で固めたもの)上で4日間放置後、観察。

分裂しているようにも見える珪藻。気のせいか、その周囲にバクテリアが集まっているようにも見える。


月井雄二先生(法政大)のコメント
これはハネケイソウ(Pinnularia)の一種です。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

分裂中かどうかはこの動画からはわかりません。やや斜めになって動いているので,左右にある模様のない横の面(帯面,girdle face)の両面が見えている状態だと思います。周囲でさかんに泳いでいるのは,トラケロモナス(Trachelomonas)の一種,Trachelomonas volvocina です。

http://protist.i.hosei.ac.jp/PDB/Im.....

採取日:2006/09/22

採取場所:鹿島台水田  Google Map

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